「いつも家の駐車場では問題なく使えるのに、会社の駐車場や特定のスーパーマーケットに行くと、決まってキーレスの反応が悪くなる」。そんな不思議な経験をしたことはありませんか。キーの電池を交換しても症状が変わらない場合、それは故障ではなく、「電波干渉」が原因かもしれません。キーレスエントリーシステムは、キーと車本体が特定の周波数帯の電波を使って通信することで作動しています。しかし、私たちの周りには、この周波数帯に近い、あるいは非常に強力な電波を発するものが数多く存在します。そうしたものの近くでは、キーからの微弱な電波がかき消されたり、混線したりして、車が正しく信号を受け取れなくなってしまうのです。これが電波干渉の正体です。具体的に、電波干渉を引き起こしやすい場所としては、テレビやラジオの送信所(テレビ塔)、発電所や変電所、高圧電線の鉄塔の近くが挙げられます。また、空港や防衛施設の周辺も、様々な強力な電波が飛び交っているため、影響を受ける可能性があります。さらに身近な例としては、大型の駐車場で他の多くの車が発するキーレスの電波と混信してしまったり、コインパーキングの精算機や自動ドア、店舗の万引き防止ゲートなどがノイズ源となったりすることもあります。もし、特定の場所でだけキーレスが反応しないという症状に見舞われたら、故障だと決めつけて慌てる必要はありません。まずは、車を数メートルでもいいので、少しだけ移動させてみてください。それだけで、あっさりと状況が改善されることがよくあります。また、キーをドアハンドルやスタートボタンに直接近づけて操作することでも、電波の届く距離を補い、作動させることが可能です。このように、キーレスの不調には、故障ではない一時的な環境要因も存在することを覚えておくと、無用な心配や修理依頼をせずに済むかもしれません。
この場所だけ?キーレスが効かない電波の罠