自動施錠(スマートロック)を導入した人が、最も恐れるべきトラブル。それが、意図せずドアの外に締め出されてしまう「インキー」です。スマートフォンだけを持って、ゴミ出しや回覧板を回しに行ったほんの数十秒の間に、バタンと閉まったドアが自動で施錠されてしまい、家の中に入れなくなる。考えただけでもぞっとするこの事態は、自動施錠の最大のデメリットであり、導入前に必ず対策を講じておく必要があります。幸い、現在のスマートロック製品は、この締め出しリスクを回避するための様々な機能や工夫が凝らされています。まず、製品選びの段階で、締め出し対策がしっかりとなされたモデルを選ぶことが重要です。最も効果的なのは、スマートフォン以外の解錠方法が用意されている製品を選ぶことです。例えば、本体にテンキーが付いていて「暗証番号」で解錠できるモデルや、「指紋認証」に対応しているモデルであれば、たとえスマートフォンを家に置いたままでも、問題なく家に入ることができます。また、専用の「リモコンキー」や「ICカード」が付属している製品も有効です。これらの物理的な解錠ツールを、スマホとは別に、必ず一つは携帯する習慣をつければ、締め出しのリスクは大幅に軽減されます。製品の機能面だけでなく、自分自身の使い方の工夫も大切です。多くのスマートロックアプリには、オートロック機能を一時的にオフにする「ワンタイム設定」や、ドアが閉まってから施錠されるまでの時間を調整する機能が付いています。短い時間、家を離れることがわかっている場合は、あらかじめオートロックをオフにしておく、あるいは施錠までの時間を長めに設定しておくといった操作で、不意の締め出しを防ぐことができます。そして、最も原始的かつ確実な対策が、「物理的な鍵を一本、必ず持ち歩く」ことです。ほとんどの後付けスマートロックは、既存の鍵穴はそのまま残るため、従来の鍵でも開けることができます。お財布やキーケースの中に、常に緊急用の鍵を忍ばせておけば、万が一、スマホの電池切れや製品の故障といった不測の事態が起きても、締め出されることはありません。便利な自動施錠を安心して使いこなすためには、こうした「もしも」の備えを怠らないことが、何よりも重要なのです。